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【エクスクルーシブ】避けて通るも良し。チューダー「ビューティフル・フロップス」3選

世の中のトレンディな時計ファンは、今や「ブラックベイ フルブラック」や「GMT」に目が向きがちです。

確かにそれらは優れたモデルですが、時計選びの真髄は、むしろ**「人の振り見て」**ではなく、**「自分だけの一本」**を見つけることにあります。チューダー(TUDOR)のラインナップをよく見渡せば、主流派から一歩離れた場所に、個性溢れる「アウトサイダー」たちが存在しています。

今回は、そんなチューダーのラインナップの中から、**「不人気(=個性派)」**とされる3つのモデルを厳選。マニアックで、かつてない存在感を放つ「冷門款(ひえもんかん)」をご紹介します。

1. ブラックベイ P01型|過激すぎるミリタリー遺産

まずは何と言っても、**ブラックベイ P01型(M70150)**。

見た目のインパクトは絶大で、第一印象はおそらく「**変態**」(褒め言葉)でしょう。厚みのあるケース、異様に長いリュウズガード、そして4時位置にズラリと配置されたリュウズ。これはもはや、現代のスポーツウォッチの常識を覆す、過激なまでのデザインです。

歴史に学ぶ、過酷なまでの機能美
この「変さ」には、すべて理由があります。P01とは「Prototype(プロトタイプ)」の意。
1967年、チューダーはアメリカ海軍の要請に応じて、当時の最新技術を詰め込んだ競作試作時計を製作しました。P01型は、その**米海軍向けプロトタイプ**を現代に復刻したモデルなのです。

撮影現場で愛された「ジョイント・リンク」
特筆すべきは、ケースバックに隠された**「ジョイント・リンク(ヒンジド・エンド・リンク)」**機構。
これは、ラグとブレスレットの接続部分に設けられた蝶番(ちょうつがい)で、ベゼルを固定するためのものです。当時の海軍は、この機構によりベゼルの誤作動を防ぎ、正確な時刻運用を求めていました。まさに「道具」としての極致ともいえるディテールです。

**視点の違い:**
主流派は「カッコいい潜水時計」を求めますが、P01型は「過酷な任務に耐える道具」です。この一線を画す存在感こそが、マニアを惹きつける所以です。

2. ブラックベイ 1958型 925|傷つきやすい貴金属の美学

次に挙げたいのは、**ブラックベイ 1958型 925(M79010SG)**。

「銀でできた潜水時計」と聞くと、多くの時計ファンは眉をひそめるかもしれません。その理由は明白です。

なぜ冷門なのか?「硬度」と「酸化」の問題
銀(925シルバー)のモース硬度は約2.5~3。対してステンレススチール(SUS)は約5.5です。つまり、銀は鋼鉄の**半分の硬さ**しか持たない、極めてデリケートな素材です。日常使いではすぐに傷がつき、空気中の硫化物と反応して**酸化(くすみ)**も起こします。

スポーツウォッチの基本は「タフさ」。その逆を行くこのモデルは、実用性だけを考えれば「選ばれない」選択肢です。

しかし、その「経年変化」に価値がある
しかし、だからこそ価値があるのです。
このモデルは、特殊な合金処理が施されており、長期間使用しても完全に黒く変色することはありません。しかし、その柔らかい素材故に、身につける人の生活の跡(傷)が確実に刻まれます。それは、大量生産品には決して真似のできない、「**自分だけのエイジング**」として、時計に愛着を湧かせてくれます。

3. ランジャー型|“雪花針”を捨てた潔さ

最後は、**ランジャー型(Ranger / M79950)**。

2022年に突如として復刻されたこのモデルは、発表当初から「売れないのでは?」と言われ続けています。その理由は、チューダーの象徴ともいえる**「雪花(スノーフレーク)針」**を、意図的に採用していないことにあります。

チューダーの“異端児”
チューダーはかつて、ロレックスの弟分として、そのデザインを踏襲していました。しかし1969年、チューダーは独自のアイデンティティを確立するため、「雪花針」を開発。以来、この斧のような形の針は、チューダーの顔となりました。

しかし、ランジャー型は違う。
歴史的な1965年のRef.7995を忠実に再現するため、**「矢尻針(アロー針)」**を採用しています。これは、現代のチューダーの流れに逆行する、ある意味で「勇気ある選択」です。

100m防水という“逆説”
さらに、現代のスポーツウォッチが300m、600mと防水性能を競う中、ランジャー型は**100m防水**に留めています。これは「過剰な性能」ではなく、「必要な性能」だけを備えるという、ミニマリストな思想の表れ。つまり、このモデルは「派手さ」を求める人には向いていませんが、「本質的な道具」としての価値を求める人には、最高の一本となるのです。

総合評価:「冷門」こそが「特等席」
モデル 主な特徴 選ぶべき理由
**P01型** 4時位置リュウズ、ジョイントリンク **歴史的価値**を重んじるミリタリーマニア

**1958型 925** 925銀ケース、39mm径 **経年変化(エイジング)**を愛するコレクター

**ランジャー型** 矢尻針、100m防水、39mm径 **ミニマリスト**、あるいはアンチ・メインストリーム

**「人気=正解」ではありません。**

P01型の過激さ、1958型925の脆さ、ランジャー型の潔さ。これらは、どれもが「流されない」大人の男のための、隠れた名作です。もしもあなたが「人と被るのはイヤだ」と感じているのなら、これらの「冷門款」こそが、真の「不動品(ふどうひん)」となることでしょう。

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