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ブレモン 第2世代のスーパーマリン S302 GMT。

あなたが腕時計を手にするとき、それに何を求めているだろうか(もちろん時間を知る以外に)。どんな状況でも仕事をこなす、万能型の腕時計だろうか? はたまたスペシャリストみたいな、つまり自分が何であるかを知っていてそれを“完璧”にこなせる腕時計だろうか?

ブレモン スーパーマリン S302 GMT
私の普段使いの腕時計はGMTだが、すべてをこなそうとする腕時計にはあまり関心がない。GMTマスターIIは100mの防水性能を備えており、水に浸かるだけなら十分なスペックだ。ダイビングをするならほぼ確実にダイバーズウォッチを選ぶため(またはダイブコンピュータのほうがふさわしい)、水中でも水上でも第2時間帯を追跡できるダイバーズウォッチというアイデアは、私には余計なものに思える。

ダイビングに行くために旅行をして、すべての機能をカバーする1本の時計が欲しいというなら魅力を感じることができるのだが、それでも水中よりもはるかに多くの時間を水上で過ごすことになる。そのため新しいS302は、スーパーマリンシリーズのトレンドに逆らったようなものだが(それ以外はダイビングに関係している)、新しいコア機能、つまり純粋なトラベルウォッチに再び焦点を当てるという論理的な決定は理解できる。

ブレモン スーパーマリン S302 GMTのダイヤル
クローズドケースバックを見ても、トラベル(およびフライト)がブレモンの中核であることを思い出させてくれる。ダイヤル側には、120クリックの両方向回転GMTベゼルがある。“コーラー”スタイル(独立した時針ではなく、独立した24時間針)と並んで、これがスーパーマリン S302のひとつの大きな問題点かもしれない。私の直感によると、ブランドはベゼルの中身をダイバーズ志向の前作のまま、セラミックGMTインサートへと交換したのではないかと思う。これはラインナップに別のGMTバリエーションを導入するための応急処置のように感じるが、これがブレモンのさらなる発展の始まりになることを期待している。

ブレモン スーパーマリン S302 GMTの裏蓋
裏蓋に施された水上飛行機は、水上(または水中)と同じように空中でも使用できることを示すだけでなく、ダイビングに適したスペックも捨てていないことを物語っている。ケースはステンレススティール、ミドルケースはアルミを使用しており、軽快さを提供しつつ300mの防水性を実現。ダイバーズベゼルではないため水中では実用的ではないが、スタート時間を正確に記録しておけば(あるいは水上で潜水予定時間から60分を差し引いた時刻に時計をセットしておけば)、表向きはダイビングを楽しむことができる。ストラップはSS製、レザーストラップ、ラバーストラップのなかから選ぶことができ、私はレザーストラップを選んだが、ブレモンは上記のどれにも対応していると証明している。

ブレモン スーパーマリン S302 GMTのリストショット
この時計は私の手首にとてもよくフィットし、13mmというサイズから想像される厚みよりも薄かった。時計の軽量化に関して言うと、私は“妥協を許さない”ことが多い。私の大体の感覚でいうと、ブランドは非常に軽い時計を作るか、手首に存在感のあるものを作るべきだと思う。重厚な時計が好きだったので、チタンの時計にたどり着き、理解するのに時間がかかった。ただしこれは、アルミ製ミドルケースの容量による軽量化とのバランスが取れている。実際モナコ・レジェンド・オークションに参加するべく、モナコ旅行に持って行った際、手首に装着したときの重量が軽くなるのを楽しんでいた。

ブレモン スーパーマリン S302 GMT
ブレモン スーパーマリン S302 GMTのケースサイド
これはスーパーマリン S302を使っていた短期間で、本当に気に入ったいくつかの小さなディテールのひとつだった。一見すると、ブルーとグリーンのベゼルはバルチックのGMTを連想させた。しかしかなり控えめで、目立たない色合いだった。また15分間隔のアクセント、文字盤の“SUPERMARINE” “LONDON”のフォントが、GMT針の先端に塗られたオレンジとマッチしてパンチを効かせている。ほかの濃い色の時計ではもっと目立つのだろうが、ここでは文字盤の周囲を視線が移動するのを抑えるためのいい方法だった。

これは腕時計で最も興奮する奇妙なことのひとつかもしれないが、私のお気に入りの特徴のひとつはラグのデザインだ。ブラッシュ加工されたファセットを持ち、柔らかくて彫刻的なデザインだ。つけ心地がいいだけではなく、ほかの多くの腕時計のように腕に食い込むこともなく、磨き上げられたエッジは光に照らすとポップな印象を与える。

ブレモン スーパーマリン S302 GMTのGMT針
ブレモン スーパーマリン S302 GMTのラグ
ブレモン S302のダイバーズ向けバージョンのほうが好みな人は、今のところそちらも購入が可能だ。ブレスレット付きの価格は3650ポンド(日本円で約60万2000円)で、混雑した同価格帯のGMT市場に参入できる。私はチューダーのGMTモデルが大好きだが、そのデザインはチューダーの姉妹ブランドからリリースしている時計と非常に似ているため、よりいいものへ近づいた妥協案のように感じることがよくある。対して新しいブレモン スーパーマリン S302は、この価格帯ながら色とデザインにちょっとしたバリエーションがある。

何よりも、トラベルに特化したデザインの新しいバリエーションは、ブレモンの製品の幅を広げてくれる。ダビデ・チェラート(Davide Cerrato)氏はブランドの新CEOになってまだ日が浅い。この時計は彼が今年のはじめに就任するずっと前から準備されていものだが、これはおそらくチェラート氏がブレモンに足跡を残していくなかで私たちが期待できる、ブランドラインナップの段階的かつ実用的な拡大なのだと思う。

ブレモン スーパーマリン S302 GMT
ブレモン スーパーマリン S302 GMT。ステンレススティール製ケース(アルミニウム製ミドルケース)。直径40mm×厚さ13mm、ラグ幅20mm。ねじ込み式リューズ、300m防水。ブルーダイアル、ブルー&グリーンベゼル。スーパールミノバ®を塗布したインデックス。ブルーダイヤル、ブルー&グリーンベゼル。スーパールミノバ®を塗布したインデックス。ブレモン製自動巻きCal.BE-932AV(ETA 2893-2ベース)、約50時間パワーリザーブ、ISO3159認定クロノメーター。時・分・センターセコンド、日付、セカンドタイムゾーン(コーラー型)。ソリッドケースバック。ブレスレット、レザーストラップ、ラバーストラップの3種。価格はストラップが3250ポンド(日本円で約60万2000円)、ブレスレットが3650ポンド(日本円で約67万7000円)

リシャール・ミルはこれまで、極限の挑戦の先に見た、極薄の美学。

リシャール・ミルはこれまで、多くのアスリートとコラボレーションをしてきた。そのモデルのどれもが、それぞれの競技に適した機能や構造、素材を創意工夫したスペシャルピースであった。そして2021年、一転してフェラーリとの長期的なパートナーシップを締結。その翌年に登場したコラボ第一弾は、まったく新しいアプローチによってフェラーリらしさが表現されていた。

一体、どれだけの人が予測できただろうか? リシャール・ミルが、極薄時計の分野にチャレンジすることを。フェラーリとのコラボモデル第一弾となるRM UP-01 フェラーリの、ほぼ完成品に近いプロトタイプを初めて目にしたときの衝撃は、いまでも忘れられない。そのなかに機械が入っているとは決して思えないほど薄かったからだ。この時計のケース厚は、わずか1.75mmしかない。

フェラーリとのコラボで行われたのが常識外れの極薄というアプローチであったことは、前述したように予想外の事実。しかし、この選択は正しかったようだ。世界最薄のウルトラフラットは、フェラーリとリシャール・ミル、両方のオーナーから大いに歓迎され、限定150本が世界中で取り合いになったのだから。

リシャール・ミル以前にも、フェラーリは3つの時計ブランドと提携してきた。そこから生まれたコラボモデルの大半は、既存のモデルを用いた色違いや素材違いだった。イメージカラーである赤を多用し、スーパーカーのディテールをモチーフとすることで、フェラーリの世界観を表現するに留まっていた。まったくの新開発である場合も、12気筒エンジンを模した機構を搭載し、フェラーリ的な要素を強く主張させたものだった。

しかし、RM UP-01 フェラーリは外観も機構もフェラーリに倣ってはいない。せいぜい針を赤くし、跳ね馬をその表面に配した程度だ。リシャール・ミルは、フェラーリとの提携の理由について「両ブランドに共通する、完璧さの探求という目標に駆り立てられ、力を合わせることとなりました」とアナウンスしている。世界最薄のウルトラフラットは、ひと目で認識できるエレガントさを備えたスポーツ仕様の“完璧さの追求”への帰結。技術が美学をも表すことを証明し、フェラーリとリシャール・ミルによる大胆な革新性を体現した。

メゾンとして初のウルトラフラットは、2007年に登場したRM 016 オートマティック エクストラフラットであった。これは6.35mm厚の自動巻きCal.RMAS7を用いながら、卓越したケースワークで8.25mm厚の薄さを実現。その多くに複雑な三次元曲面を持つリシャール・ミルのケース製造には、超精密加工が要求される。その技術が、薄型ケースに応用されたのだ。2013年には、ケースメーカーであるプロアート社を買収。新ファクトリーも建造し、高性能な工作機械と検査機を整備した。筆者が以前ここを訪ねた際、加工時の公差(許容誤差)は0.001mm以内だと聞かされた。これは他社を圧倒する精密さである。この技術を極限まで突き詰め、究極の薄さという新たな美的基準を創造することで、リシャール・ミルはフェラーリの価値を表現しようと試みたのだ。

ケース厚が2mmを切る機械式時計は、過去に2例存在する。そのいずれもが、ケースバックの内側を地板とし、その上にムーブメントを構築することで超極薄を実現していた。対してRM UP-01 フェラーリは、独立したムーブメントをケースに収めるという従来のスタイルを採った。それはフェラーリが美しいボディに高性能なエンジンを積んでいるからであり、また、ムーブメントが単独で取り出せたほうがメンテナンス面ではるかに優れるからだ。さらに言えば、搭載するCal.RMUP-01を開発したオーデマ ピゲ・ル ロックル(旧オーデマ ピゲ・ルノー エ パピ)を率いるジュリオ・パピ氏の意向も強く反映したのであろう。パピ氏の創作は、極めて革新的であると同時にコンサバティブでもある。新たな構造や形状により、さまざまな複雑機構を進化させる彼は、そのパーツ製造を将来的に再現性が担保できる切削だけに頼っている。そんな彼は、ムーブメントが取り出せない構造を望まないだろう。

オーデマ ピゲ・ル ロックルは、わずか1.18mm厚のCal.RMUP-01を作り上げ、それを収めるケースをリシャール・ミルが製作した。両社が綿密に連携を取りながら開発を進めることで、今回の世界最薄がかなえられたのだ。

究極に薄いRM UP-01 フェラーリのサイズ自体は、縦39mm×横51mmと比較的大きい。ムーブメントの設計は、この面積を最大限に生かしている。通常のムーブメントの輪列は、各歯車に小さなカナを組み合わせ、上下に重ねて係合させることで省スペース化を図っている。このカナをCal.RMUP-01では極限まで排除した。そして隣り合う歯車を重ねることなく直接係合させることで、薄型化を図ったのだ。

香箱から輪列は2手に分かれ、一方はテンプへと至る。それによって調速された香箱の回転で、2枚重ねた時・分の各駆動車を動かす仕組みだ。時・分の各駆動車にプリントされた赤い指標が時分針を兼ね、その軸は上部に突き出した極薄のサファイアクリスタルの中心を支えている。また、脱進機はスイスレバー式とは異なる新たなアンクルを開発。形はほぼ一直線状で、片端とほぼ中央部に爪石が備わり、別の終端は円形に切り欠けを設けたクワガタ状になっている。この形状によってアンクルの動作範囲は規制され、衝撃も吸収できるようになった。結果、スイスレバー式のテンプの振り座には不可欠だったアンクルの可動域を規制するガードピン(ドテピン)と緩衝用のセーフティローラー(小ツバ)を不要とし、厚みは大幅に削減された。

世界最薄ムーブメントにとって、リューズの構造も大きな難題であった。巻芯を通せるだけの厚さがないからだ。そこでリューズを平面に配置し、直接巻き上げ輪列と針合わせ輪列を動かす構造が考案された。各輪列への切り替えは、リシャール・ミルが長く採用してきたファンクションセレクターを応用している。リューズ機構は表面左サイドに集約された。専用のコレクターを用い、上側で巻き上げと針合わせとを切り替え、下側で操作する設計だ。

2ピース構造のケースは、下側ピースの外縁に段差を設けてそこに表面ピースをはめ込み、12個のビスでつなぎ合わせることで極薄でも十分な剛性を得ている。また、表面の開口部が小さいことも頑強さにつながっている。ケースはグレード5チタン製。ムーブメントの地板とブリッジもグレード5チタンであり、同じ素材同士が強固に結び付くことで、究極に薄くても5000Gの加速度に耐える、優れた耐衝撃性能がかなえられた。

なお、ストラップは裏面のくぼみにビス留めする構造とすることでフラット化に貢献。さまざまな創意工夫によって、驚異のウルトラフラットは生まれたのだ。

1.18mm厚のCal.RMUP-01を構成するパーツは、当然のことだが極めて薄い。ゆえに各歯車は、完璧に同一面にあり、的確なアガキ(パーツ間の隙間)を保って係合していなければ決して動いてくれない。そのためには各歯車の軸の長さ、それらを支える地板とブリッジのホゾ穴の深さの加工時の公差は、限りなくゼロに近づけることが要求される。その組み立ては極めて繊細さが求められる作業であり、困難であることは容易に想像できるであろう。究極のウルトラフラットは、それ自体がコンプリケーションなのだ。リシャール・ミルは、初作RM 001 トゥールビヨンからチタン製のケースと地板の経験を積んできた。同モデルが高い衝撃性能を誇っていたのは、ケースとムーブメントとを同時にデザインしていたことに加えて、ムーブメント自体の組み立て技術によるところが大きい。パーツを同一の水平面に保ち、最適なアガキを設けることで、パーツ同士が支え合い頑強となるのだ。

すなわちRM UP-01 フェラーリで達成した1.75mm厚は、リシャール・ミルが培っていた技術の集大成といえる。リシャール・ミルにしか、こんな時計は作り出せないのだ。

バルチック ブラック&ゴールドで実現した3つの新たなコアモデルを発表。

もしバルチックが眠っているように感じていたのなら、目覚める時が来たようだ。太陽が輝いているからではなく、その黄金の輝きはバルチックの主力商品のいくつかの新しいPVDゴールドバージョンからもたらされたものだ。本日、MR01 マイクロローター・オートマティック、バイコンパックス 002、HMS 002センターセコンドに、ゴールドの輝きとそれを引き立てるブラックの文字盤が加わった。


 標準的なMR01(545ユーロ、日本では税込9万4600円)と同価格で、バイコンパックス 002(565ユーロ/約9万1510円。通常モデルは540ユーロ、日本では税込9万4600円)とHMS 002(385ユーロ/約6万2360円。通常モデルは360ユーロ、日本では税込6万3800円)は若干の値上げだが、バルティックは今回、316LステンレススティールケースにゴールドPVD加工を施し、ブラックダイヤルを採用している。ふたつの時刻表示のみの自動巻きウォッチに加え、ふたつのインダイヤルを備えた手巻きクロノグラフがひとつだ。しかしながら、PVD加工されたゴールドの新しい外観は十分に印象的である(そしてMR01の発売時の需要は十分に高かった)ので、愛好家の方々にはお知らせしておくと喜ばれるかもしれないと思ったのだ。

 ケースやムーブメントに変更はないため、スペックは以下からご確認いただきたい。それはまさに期待どおりのものだが、まあ、見栄えはいいだろう。

Baltic Bicompax 002 gold
我々の考え
OK、すでに述べたとおり、これはかなりよさそうだ。私が時計にハマり始めた最初のころ、ゴールドタッチの時計がどうしても欲しいと感じたことを覚えている。予算が限られている多くのコレクターと同じように、私は痒いところに手が届くゴールドPVDの時計に引かれたのだ。私はゴールドを基調としたカシオのA500WGA-9ワールドタイマーを選んだが(急に引き出しから掘り出して身につけたくなった)、このような時計が世の中にあったらよかったのにと思っていた。

HMS 002
 ブルー文字盤のMR01は、今でも私のお気に入りの手頃な価格の時計のひとつで、毎月多くの人におすすめしている。そしてサーモンダイヤルはトレンドもあって、ブランドのMR01リリースのなかで最も人気があるように見えたが、黒のダイヤルを持つヴィンテージイエローゴールドのパテックがいかに希少であるかを覚えておくといい。この文字盤は、間違いなくヴィンテージパテックの雰囲気を醸し出しており、新しいMR01に施されたゴールドPVD加工のブレゲ数字が印象的なのだ。ヴィンテージウォッチが高値で取引される理由は、希少性だけではないことを物語っている。見事な時計だ。私自身がすぐに3本目のバルチックを手にすることはないだろうが、これらの新作に勝るものはないと思っている。

Baltic Bicompax 002 Caseback
基本情報
ブランド: バルチック(Baltic)
モデル名: MR01、バイコンパックス 002、HMS 002(MR01, Bicompax 002, and HMS 002)

直径: 36mm(MR01)、38mm(バイコンパックス 002)、38mm(HMS 002)
厚さ: 9.9mm(MR01)、13m(バイコンパックス 002)、13mm(HMS 002)
ケース素材: ゴールドカラーPVDコーティングの316Lステンレススティール、
文字盤: ブラック
インデックス: アプライドのブレゲ数字アワーインデックス(MR01)、セクターダイヤルにポリッシュ仕上げのアプライドアワーインデックス(バイコンパックス 002、HMS 002)
夜光: なし
防水性能: 30m(MR01)、50m(バイコンパックス 002、HMS 002)
ストラップ/ブレスレット: ステッチ入りサフィアーノブラックストラップ

Baltic MR01 Movement
ムーブメント情報
キャリバー: ハンチョウCal 5000a マイクロローター(MR01)、シーガル ST1901(バイコンパックス 002)、ミヨタ 8315(HMS 002)
機能: 時・分表示、スモールセコンド(MR01)、時・分表示、コラムホイールクロノグラフ、9時位置にスモールセコンド、3時位置に30分積算計(バイコンパックス 002)、時分表示、センターセコンド、ストップセコンド付き(HMS 002)
パワーリザーブ: 42時間(MR01、バイコンパックス 002)、60時間(HMS 002)
巻き上げ方式: 自動巻き(MR01、HMS 002)、手巻き(バイコンパックス 002)
クロノメーター認定: なし
追加情報: エングレービング入りリューズ、ハイドームヘサライトガラス風防。

価格 & 発売時期
価格: 545ユーロ/日本円で約8万8260円(MR01)、565ユーロ/日本円で約9万1510円(バイコンパックス 002)、385ユーロ/日本円で約6万2360円(HMS 002)

ラドー、カーヴィーな80年代の名作であるアナトムの40周年記念モデルを発表。

数々のユニークなシェイプの腕時計にセラミックを採用し、“マスター・オブ・マテリアル”の異名を持つラドーが、マイアミで80年代に活躍していた腕時計の復活を発表した。その名もアナトムである。

Anatom
 2023年に蘇ったカーブを描くレクタンギュラーウォッチは、1983年に発表された初代アナトムにオマージュを捧げながらも、現代のラドーのデザインコードを用いることでまったく新しいバリエーションとして生み出された。私はこの発表のためにマイアミを訪れ、ブランドのCEOであるエイドリアン・ボシャール(エイドリアン・ボシャール)と少し話をしたのち、アナトムの遺産についてもう少し深く掘り下げる機会を得た。前日の夜に行われた小さなイベントで、彼は80年代の当時のアナトムを取り出し、間もなく発表される新作について簡単に語った。ブレスレットにツートンカラーのを乗せた、とてもクールで(文句なく)小さな時計だ。

 アナトムがいかに特別なモデルであったかは(ヴィンテージウォッチを見れば一目瞭然だが)、カーブしたケースと凸型のサファイアクリスタルが雄弁に語ってくれる。そして、ケースからインダストリアルなブレスレットへとシームレスにつながるデザイン。パッケージ全体がまさにラドーを象徴しており、モダンな時計製造に向けられたブランドの情熱が表現されている。

Anatom
 しかし、1983年に発表されたアナトムでさえも、同ブランドが築き上げてきたレクタンギュラーウォッチの伝統を受け継ぐモデルである。1960年代のマンハッタンから80年代のダイヤスター エグゼクティブまで、アナトムの誕生には20年以上の準備期間のようなものがあった。アナトムの発売からも、ラドーはシントラ、セラミカ、インテグラル、そして2020年のトゥルースクエアに至るまで、長年にわたってこのケースシェイプに深い愛情を注ぎ続けてきた。

 さて、2020年はブランドにとって重要な意味を持つ。というのも、ボシャールが(サーチナでの輝かしい在任期間を経て)CEOに就任した年だからだ。先日、ボシャールはラドーのプロダクトチームとの初めてのミーティングについて少し話をしてくれた。その時に彼は、ラドーが将来リリースするモデルのひとつとしてアナトムに照準を定めたのだという。かつてのアナトムはスティール製だったが、このモデルの基本方針は、ブランドのモダンなアイデンティティを尊重しつつも、素材にセラミックを採用するというものであった。このシェイプとフォルムを持つ時計をセラミックで作るのは、かなり困難であったことは想像に難くない。

Anatom
 そして今日、初代ダイヤスター アナトムの発表から40年を記念して、セラミック製の本モデルが発表された。この時計は、素材に熟達したブランドが生み出した最先端の進化であり、これまでにない新たな形で過去へのオマージュを表現している。過去との直接的なつながりにこだわるのではなく、バックミラーを覗いてウインクしながら、正真正銘のヘリテージを備えた真のモダンウォッチを創造することに重きを置いているのである。

Anatom
 オリジナルのダイヤスター アナトムから、現代的なトレンドに合わせて変更された点として、まずケースサイズが幅28mmから32.5mmに拡大されたことが挙げられる。ひと回り大きくなったものの、まだまだ控えめなサイズだ。ベゼルはマットブラックのセラミックだが、全体的な設計はシリンダー型のサファイアクリスタルと同じ曲線をとっている。

 オリジナルモデルではダイヤルに水平方向のストライプが施され、ブレスレットのラインと調和していた。今回の新作では、セラミック製ではなくラバーのストラップが採用されている(もっとも、このモデル用のセラミック製ブレスレットも製作中であることは間違いない)。ダイヤルは水平方向にサテン仕上げが施されており、ブルー、コニャック、グリーンの3色のスモーク加工が施されている。そして12時位置には、ラドーのシグネチャーであるアンカーが配されている(オリジナルには見られなかったものだ)。

Anatom
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 ケースの全体的な構成として、ベゼルトップは前述のマットセラミック、ミッドケースはブラックPVDスティール製となっており、そしてスティールのスケルトンケースバックからはアナトムが1983年に搭載していたクオーツキャリバーとは異なる自動巻きムーブメントを見ることができる。このムーブメントは6時位置にデイト窓を備え、72時間のパワーリザーブを誇るラドーの自動巻きキャリバーR766である。

 アナトムのローンチ時に発表された3色のスタンダードカラーに加え、ラドーはブラックラッカー仕上げのポリッシュダイヤルと、11個のバゲットダイヤモンドからなるインデックス、そしてブラックダイヤルを背景にロジウムカラーのムービングアンカーモチーフを配した40本の特別限定モデルであるJubilé (日本での展開は未定)も発表する。

Anatom
 さて、この発表について私はどう思っているだろうか? デザインと美観という点では私の好みとちょっと違うかもしれないが、これはこれで素晴らしい。1983年のバージョンを目にし、デザインの歴史を理解したことで、40周年記念にフルモダンの外観を採用したブランドの確固たる意志に感銘を受けた。正直なところ、ラドーについて考えるときに頭に浮かぶのは次の3つの要素だ。キャプテン クック、スクエア、そしてセラミック。この3つのうちふたつは、今作でもカバーされている。

 私は昔から湾曲したレクタンギュラーケースが好きだし、この新しいアナトムは1980年代のオリジナルに必要以上に引っ張られることなく、21世紀らしいモダンなデザインを完璧に表現していると思う。この時計のオールメタル仕様を製作するのは簡単だっただろうが、今日の時計市場にはすでに多くの類似品が出回っている。

Anatom
 ラバーストラップがマットなセラミックケースとどのようにマッチするのか、腕につけて確かめてみるのが楽しみだ。着用感、視認性、そして総合的な感想については、近いうちにHands-Onで報告したいと思う。以上、マイアミより。

基本情報
ブランド: ラドー(Rado)
モデル名: アナトム(Anatom)
型番: R10202319(グリーン)、R10202209(ブルー)、R10202309(コニャック)

直径: 32.5mm(縦46.3mm、厚さ11.3mm)
ケース素材: マットブラックのハイテクセラミック製ベゼル、ブラックPVD加工を施したサンドブラスト仕上げのステンレススティール製ミドルパーツ、マットブラックのハイテクセラミック製リューズ、ステンレススティール製ケースバック、サファイアクリスタルのシースルーバック
文字盤色: ブラックにグリーン、ブルー、コニャックのグラデーション
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ラバーストラップ

Anatom
ムーブメント情報
キャリバー: ラドー キャリバーR766
機能: 時・分・秒表示、デイト表示
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 自動巻き
石数: 21

Anatom
価格 & 発売時期
価格: 52万9100円(税込)
発売時期: HODINKEE Shopにて購入可能(日本では2024年上旬に発売)
限定: Jubiléのみ40本限定(Jubiléは日本での発売は未定)

カルティエから発表された新作はデザイン的に秀でたものが多かった。

モザイク模様のダイヤルを持ったタンクや現代解釈を経て待望の復活を遂げたタンク ノルマル。同社としても初めてストーンインデックスを用いたサントス デュモンのXLモデル、僕もその栄冠を手にしたタンク サントレなどなど…、どれを選んでも近年のカルティエを体現するアイコニックモデルたちが揃っている。

 それらを抑えて、個人的に最も意欲的に映った時計は、実はサントス デュモンのスケルトンモデルだった。そう、あのマイクロローターを備えた1本だ。カルティエは、近年増えているスケルトンウォッチの先鞭をつけたメゾンであることはかつて執筆した記事で述べたが、ムーブメントまで含めたデザインという意味で本作は抜きん出ている。それだけに、実際につける際にその個性をうまくなじませるにはどうしたらよいか。もちろん、何も考えずにつけても素敵なのだが、本人の個性とミックスさせてより輝かせる3つのスタイルをスタイリストの石川英治さんとともに考えてみた。

1 ブラウントーンのコートルック

ダブル ラグランコート22万円、ニット15万4000円、パンツ5万5000円(すべてリングヂャケット)、シューズ(スタイリスト私物)

1つめはこのシーズンらしいスタイリング。このコートルックでテーマとしたのは、SS素材でソリッドな印象の時計とネイビーストラップをフィーチャーしつつもなじむような、背景となるコーディネートだ。タートルネックにレザーベルトの時計は好相性の組み合わせだが、敢えて個性を加えるならハイゲージではなくミドルゲージの少し織り目の荒いニットを選ぶこと。上品なクロコレザーのストラップとギャップが生まれる上、ざっくりとしたニットの質感が個性的なスケルトンダイヤルを悪目立ちさせることなく調和が取れる。

 さて、このニットを軸にしながら、その他のアイテムは若干質感をずらして品よくまとめすぎないようにしたい。洒落て見えるカギは、「本人らしく」「敢えて選んでいるか」どうかなので、例えばスーツのように上下あつらえたような印象になるアイテムを選ぶと、見る人の想像を超えることはなくフィックスされたイメージどおりのスタイリングになることがほとんどだ(ビジネスやフォーマルはこのイメージをしっかり踏襲するのが正解だ)。


 このルックの場合、ミドルゲージのニットにダークブラウンのウールスラックスを合わせ、コートには柔らかなドレープが現れ、ほんのり光沢感を放つウール×シルクの素材をセレクト。それぞれ若干素材感をずらしながら、ベージュ・ブラウン系のトーンでまとめている。

 さらに工夫するとすれば足元だが、同じ色味ながら敢えて少しラギッドなブーツを選択している。シューズにボリュームをもたせるのがいまのトレンドでもあるので旬度をプラスする意図があるのだが、もし手持ちでないようなら同系色のローファーなどに素材感や色味のあるソックスを合わせてもいいだろう。

2 カジュアルダウンしたセットアップコーデ

スーツ25万3000円、ニット4万2900円(すべてリングヂャケット)、キャップ、シューズ(スタイリスト私物)

9mm厚と非常に薄型のサントス デュモンはスーツスタイルにもよく馴染む。ただ、タイドアップしたビジネススタイルというよりは、より寛いだ印象がこの時計の雰囲気にはマッチするだろう。このルックではニット素材のロングポロシャツと少しチャンキーなローファーでカジュアルダウンのベースを整えた。さらに、パリジャンなどの海外スナップを思わせるアイテムとして、キャップを加えることで時計の個性に負けないテイストをプラスしている。

「いくらなんでもスーツにキャップ…?」こういう声が聞こえてきそうだ。もちろん、これは上級テクニックで、ボリュームのあるシューズとバランスを取ってキャップというカジュアルなアイテムを加えた結果だったりする(それとは別に、旬なMoMAとのコラボヤンキースキャップというのもポイント)。より取り入れやすいテイストだと、ハイカットスニーカーにタイトなニットビーニーとかでもいいかもしれない。


 1つ、外してはいけないのがスーツのセレクト。このリングヂャケットのグレースーツは段返りの3ボタン、かつパッチポケットというディテールが堅過ぎずに程よくカジュアルだ。もちろんタイドアップして使えるスーツではあるものの、上下バラして使えるようなセットアップに近いデザインが特徴だ。少し表面がざらついた風合いのウール・コットン素材がその個性の正体だ。なお、この手のスーツをカジュアルダウンする場合、パンツの裾は基本的にはダブルの仕立てにしておけば間違いがない。

 グレーとネイビーは鉄板のマッチングを誇るため(このサントス デュモン自体がそうであるように)、時計とスーツ、キャップまで含めたカラーコーディネートを、グレーをベースにネイビーをアクセントとしてまとめたルックとなった。

3 アップデートしたレザースタイル

レザージャケット35万2000円、シャツ4万2900円、パンツ6万6000円、タイ3万3000円(すべてリングヂャケット)、スニーカー(スタイリスト私物)

レザージャケットとグレースラックスというコーディネートは個人的に好きで、ほぼ主観によって今回の3ルックに加えさせてもらった。ひと昔前は、かなりタイトなダブル仕立てのレザーライダースにテーパードの効いたグレースラックスを合わせるのが定番だったが、昨今のリラックスした雰囲気を取り入れて少しアップデートをしている。

 シングルタイプのレザージャケットは、上品なラムレザー製。リングヂャケットがナポリの工房で仕立てたもので、ハンド風のステッチが同色のマットな質感のレザーに程よく表情を加えている。このジャケットが時計好きに刺さるのは、カフスの裏にシープスエードが配されていて、時計に干渉する際にも安心感があるところにもあるかなと思う。


サントス デュモン
Ref.CRWHSA0032 469万9200円(税込) SSケース、LMサイズ(縦43.5×横31.4mm)、8m厚。自動巻きCal.9629 MC搭載、2万5200振動/時、約46時間パワーリザーブ。日常生活防水。

 グレースラックスはというと、ルックのように若干足元に“溜める”ようにして履くのがいまの気分だ。モデルはキャンバススニーカーに合わせつつ、2クッションと少しほど溜めているが、一般的な体型の方であれば1.5クッションくらいにして、なおシューズも少しボリュームのあるものを選ぶとバランスが取りやすいと思う。

 なお、さらなるテイストとしては、少し緩く結んだタイで抜け感をプラスしているが、正直さじ加減が難しいと思うので、同色のタートルネックや少しオーバーサイズのシャツなどに置き換えてもこなれて見えるだろう。細部までデザインが入ったサントス デュモンのような時計をよりよく見せるならば、やはり「敢えて」サイズ感や素材感を選びぬいたようなテイストを加えることを試してみたい。

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